ユーザーへのサポート対応の仕組みとして使われる「サポートチケット」。今回は、サポートチケットの仕組みやメリット・デメリット、おすすめのシステムについて紹介します!
サポートチケットとは?
サポートチケットとは、お客様が有料の専用チケットを使用することでサポートを受けることができる仕組みのことです。
お客様が事前にベンダーからまとめてチケットを購入し、そのチケットを消費することでサポートを受けることができます。
チケットは、実物のものではなくWeb上のシステムでやり取りされるもので、個別の番号が割り振られることが一般的です。
サポートチケット導入のメリット
それでは、サポートチケットを導入するメリットは何でしょうか?
ベンダー側とユーザー側、それぞれのメリットを紹介します!
「ベンダー側」のメリット
ベンダー側がサポートチケットを導入するメリットは、下記の通りです。
- サポート部門の運営コストを削減できる
- 過去の対応履歴をもとに顧客満足度の高い対応が可能になる
- 蓄積したデータを商品やサービスの課題分析に有効活用できる
- 業務量を事前にある程度予測できるようになる
- キャッシュフローが改善する
詳しく解説します!
【ベンダー側のメリット1】サポート部門の運営コストを削減できる
サポートチケットが無い場合、ベンダーはユーザーからサポート依頼があった場合、無償で対応するか、保守契約などを結んでいる場合のみ対応することになります。
この場合、ユーザーは何度でもお問い合わせを行えることが多いのではないでしょうか。
そうすると、自身で解決できるようなことでもサポートにお問い合わせが来てしまい、その対応に多大なコストがかかってしまいます。
一方で、サポートチケットを導入した場合、ユーザーはサポートを依頼するときに有料のチケットを消費する必要があります。そのため、自身では解決できないことや優先度の高いことのみサポートにお問い合わせをするようになります。
結果として、サポート部門には本当に必要なサポート依頼のみが届くようになり、その他のお問い合わせを削減することができ、運営コストを削減することができます。
【ベンダー側のメリット2】過去の対応履歴をもとに顧客満足度の高い対応が可能になる
サポートチケットを導入し、専用のシステムで依頼を一元管理することで、過去の対応履歴を蓄積できるようになります。
同一のユーザーに対して、複数のサポート担当者が対応した場合でも、システムに情報が蓄積されていくため、過去の履歴を見ながら顧客対応を行えます。
過去に依頼のあった内容や、発生したトラブルなどを把握して対応することができるため、結果として顧客満足度を高めることができます。
【ベンダー側のメリット3】蓄積したデータを商品やサービスの分析に有効活用できる
専用のシステムでサポート依頼を一元管理する場合、蓄積したデータを活用することができます。
例えば、依頼の多い時期、お問い合わせの多い内容、などを把握することができます。
これをもとに、人員配置を適正化したり、商品やサービスの改善、FAQコンテンツの補強などの行動に移すことができます。
【ベンダー側のメリット4】業務量を事前にある程度予測できるようになる
1年分のサポートチケットを事前に一括購入いただける場合、サポートチケットの総量と過去の対応実績工数から、1年間の業務量を予測することができます。
業務量を予測することができれば、サポート部門にどのくらいの人員を配置すれば良いかの参考になります。
【ベンダー側のメリット5】キャッシュフローが改善する
サポート対応について、「無償対応」「都度見積もり」「月間保守費用」「サポートチケット」などのパターンがあります。
都度見積もりの場合、当月対応分について翌月末に入金されます。月間保守費用の場合、毎月一定額が入金されます。
一方で、サポートチケットの場合、1年分を一括で購入いただければ、まとまった金額が早い段階で入金されるため、キャッシュフローが改善します。
「ユーザー側」のメリット
ユーザー側がサポートチケットを導入するメリットは、下記の通りです。
- コストを削減できる可能性がある
- 迅速なサポート対応を受けることができるようになる
- 過去のサポート履歴を社内で共通し活用できる
詳しく解説します!
【ユーザー側のメリット1】コストを削減できる可能性がある
月間保守費用や月間サポート費用で多額を支払っているのにも関わらず、サポート依頼をあまりおこなっていない場合、サポートチケットを導入して、必要な時にのみ依頼する方がコストを削減できる可能性があります。
【ユーザー側のメリット2】迅速なサポート対応を受けることができるようになる
サポートチケットを導入することで、ベンダー企業側に本当に必要なお問い合わせや依頼のみが届くようになるため、迅速なサポート対応を受けることができるようになります。
【ユーザー側のメリット3】過去のサポート履歴を社内で共通し活用できる
他の担当者が依頼やお問い合わせした内容もシステムに蓄積されていくため、お問い合わせをする前に過去の履歴を確認することで、自己解決できることがあります。
また、担当者が異動になった場合も、過去の履歴を確認できるため、引継ぎがスムーズにおこなえます。
サポートチケット導入のデメリット
サポートチケットを導入するメリットを紹介しましたが、逆にデメリットは無いのでしょうか?
デメリットについて、ベンダー側とユーザー側、それぞれの視点で解説します!
「ベンダー側」のデメリット
ベンダー側がサポートチケットを導入するデメリットは、下記の通りです。
- サポートチケットの管理コストがかかる
- ユーザーがサポートチケットの導入に抵抗を感じる場合がある
詳しく解説します!
【ベンダー側のデメリット1】管理コストがかかる
サポートチケットを導入する場合、システムは必要不可欠です。
この場合、システムの利用料がかかるだけではなく、システムにデータを入力する時間などの工数もかかります。
そのため「システム導入によりかかる費用・工数」を、「システム導入により増える売上・業務効率化できる工数」と比較して、検討する必要があります。
【ベンダー側のデメリット1】ユーザーが導入に抵抗を感じる場合がある
これまで電話やメールで依頼できていたのにシステムからしか受け付けないようにする場合、ユーザーが抵抗を感じてしまう場合があります。
システムを導入する際は、マニュアルをお渡ししたり、説明の場を設けるなどの対応が必要です。
また、どうしてもシステムの利用が難しい場合は、依頼内容をベンダー側が代わりに入力するという方法もあります。
「ユーザー側」のデメリット
ユーザー側がサポートチケットを導入するデメリットは、下記の通りです。
- コストが増加する可能性がある
- 問い合わせや依頼をする内容を事前に精査する必要がある
詳しく解説します!
【ユーザー側のデメリット1】コストが増加する可能性がある
これまで保守・サポート契約で月額料をお支払いして無制限でサポートを受けれていた場合、サポートチケットに切り替えるとコストが増加する可能性があります。
【ユーザー側のデメリット2】問い合わせや依頼をする内容を事前に精査する必要がある
サポートチケットは、有料であるためどんなことでも自由にお問い合わせをしたり、依頼をするとコストがかかってしまいます。そのため、事前に内容を精査する必要が出てくる場合があります。
また、上長に許可を得なければ、サポートチケットを使えないようなことになると本末転倒なので注意しましょう。
導入時の注意点
ここまでサポートチケットの概要とメリット・デメリットをお伝えしてきました。
次は、サポートチケット導入時の注意点を紹介します。
トラブルを未然に防げるようにしっかり準備しましょう!
ユーザー側がシステムを利用できるかを確認しておく
ユーザー側がITが苦手でシステムを利用できない場合、電話で聞いた内容を自社で打ち込んだり、メールでいただいた情報をシステムに転記したりという手間が発生します。
そのためユーザー側のITリテラシーを事前に確認して、それにあった運用方法を検討しましょう。
運用ルールを整備してトラブルを未然に防ぐ
サポートチケットの利用方法について、ユーザーからクレームが出ないためにも、運用ルールを整備して、しっかりと周知するようにしましょう。
整備すべき運用ルールの例は下記の通りです。
- サポートチケット1枚でどこまで対応可能か
- 複数の依頼を同時に行った場合、サポートチケットは何枚必要か
- サポートチケットの有効期限はいつまでか
- サポートチケットの最低購入枚数は何枚からか
サポートチケット管理システムのおすすめ3選
最後に、サポートチケットを導入するにあたりおすすめのシステムを紹介します。
自社の運用にあったシステムを選定しましょう!
Zendesk
Zendeskは、世界で10万社以上が導入している「カスタマーサービスソフトウェア&営業支援CRM」です。
カスタマーサービスソフトウェアの「Zendesk for service」と営業支援CRMの「Zendesk for sales」という製品を提供しています。
「Zendesk for service」には、チケット管理システムの機能だけではなく、FAQサイトが作れる「ヘルプセンター」機能や、チャットボット機能など、カスタマーサービスのために包括された機能が揃っています。
Backlog
Backlogは、業務を可視化し、チームのコミュニケーション促進を目的としたプロジェクト管理ツールです。
ソフトウェア開発会社、Web制作会社、広告代理店、新聞社、行政など様々な業界で活用されています。
クライアント毎にプロジェクトを作成し、そのプロジェクトの中で課題を追加(チケットを追加)いただくことで、サポートチケット管理システムとしても利用可能です。
依頼管理ツール「トコトン」
最後に紹介するのは、弊社が開発・提供をおこなっている依頼管理ツール「トコトン」です。
依頼管理ツール「トコトン」は、小規模案件に特化したプロジェクト管理ツールで、Web制作会社や広告代理店などのお客様にご利用いただいています。
また、依頼管理ツール「トコトン」は、「ポイント課金制」というものを使用できるのが特徴です。
ポイント課金制とは?
ポイント課金制とは、事前に購入したポイントを、何かしらのサービスの提供と引き換えに消費する仕組みです。
Webサイトに置き換えれば、「バナー制作」というサービスを提供する代わりにポイントを頂く。
といった形で利用できます。
作業内容とそれにかかるポイントがまとまった「ポイント表」を事前にクライアントに共有し、依頼があった場合は、そのポイント表に基づいて、ポイントを消費します。
ポイント課金制を導入するメリットは下記の通りです。
- 事前にまとめてポイントを購入いただくことで、キャッシュフローが良くなる
- 作業をメニュー化することで金額交渉を省略することができる
- 担当者による見積もり金額違いを防ぐことができる
詳しくは、こちらの記事をご確認ください。
Webサイト保守/運用に効果的!制作業務の「ポイント課金制」とは?まとめ
サポートチケットの導入を検討する際は、メリットとデメリットを比較して判断しましょう。
また、導入時には、サポートチケットの運用ルールを整備してトラブルを未然に防ぐこと、自社にあったシステムを選定することに気を付けましょう!