サーバー移行は、計画的に正しい手順で行わないと、Webサイトが表示されない期間が発生したり、お客様からのメールが受信できないなどのトラブルが発生してしまう可能性があります。
この記事では、サーバー移行手順と注意点を解説します!
事前準備をしっかりと行うことで、サーバー移行に伴うトラブルを防ぎましょう。
本記事はトコトン開発エンジニア(業界歴約20年フルスタックエンジニア)による監修を行っています
サーバー移行とは?
サーバー移行とは、既存のWebサイトで使用しているサーバーから別のサーバーに移行することを指します。
サーバーは、Webサイトやシステム、メールなど企業にとって重要なツールを扱っているものなので、移行作業は、計画的に慎重に行う必要があります。
データの損失やサービスの停止などのトラブルを防ぐためには、専門家に依頼するようにしましょう。
サーバー移行はどのような場合に必要か?
サーバー移行には、複数の理由がありますが、Web制作の現場では、以下のような場合にサーバーを移行することが多いです。
- 既存のサーバーに必要な機能がない場合(PHPのバージョンが古いなど)
- 既存のサーバーのスペックが不足している場合(速度が遅い、容量が少ないなど)
- 既存のサーバーの料金が高い場合
- 既存のサーバーでは、制作会社の運用上管理が難しい場合
サーバー移行にはどのようなパターンがあるか?
サーバー移行のパターンとしては、主に以下の3パターンがあります。
- Webサーバーとメールサーバーの両方を移行する
- Webサーバーのみ移行を行い、メールサーバーは既存のものを継続して使用する
- ドメインの移管も合わせて行う
サーバーの種類によっては、ドメインの契約も含まれており、サーバーのみの解約ができない場合があります。
こういった場合には、ドメインの移管も合わせておこなう必要があります。
この記事では、Webサーバーとメールサーバーの両方を移行する手順を紹介します。
現在使用しているサーバーがわからない場合はどうするか?
もし、現在使用しているサーバーがわからない場合は、以下の記事を参考にしてみてください。
サーバーの移行手順
サーバー移行を行うためには、全体の流れを把握して計画を立てて実施する必要があります。
サーバー移行の手順について11ステップに分けて紹介します。
それぞれのステップについて詳しく解説します!
Step1.新サーバーの検討を行う
まずは、新サーバーの検討を行います。既存サーバーの問題点を整理してから、要件や予算に合ったサーバーを選定しましょう。
WordPressなどのCMSを使用したい場合は、PHPやMySQLのバージョンを事前に確認しておきましょう。
Step2.サーバーの移行スケジュールを計画する
次に、旧サーバーから新サーバーへの移行スケジュールを立てていきます。
サーバー移行を外部に依頼する場合は、そのスケジュールに合わせて、新サーバーの契約時期や旧サーバーの解約時期を調整しましょう。
旧サーバーが年間契約の場合、解約時期によっては、コストが余分にかかってしまうため、契約内容を確認してから、移行スケジュールを立てるようにしましょう。
サーバー移行を行う時は、旧サーバーと新サーバーの並行稼働期間が必要です。
これは、ドメインのネームサーバー変更が反映されるまでに時間がかかるためです。
そのため、新旧サーバーの並行稼働期間が無い場合、Webサイトが表示されない期間が発生したり、メールが受信できない期間が発生したりしてしまいます。
また、新サーバー移行後に何らかの問題が発生した場合、旧サーバーを既に解約していると、元の状態に戻すのに時間がかかってしまいます。
新旧サーバーの並行稼働期間は、1ヶ月ほど確保しておくと安心です。
Step3.新サーバーの契約を行う
新サーバーの選定が終わり、サーバーの移行スケジュールが決まれば、そのスケジュールに合わせて新サーバーの契約を行いましょう。
Step4.旧サーバーのデータをバックアップする
次に旧サーバーのデータのバックアップを行います。FTPソフトを使用してファイルをダウンロードします。
MySQLなどのデータベースも使用している場合は、データベースのバックアップも必ず行いましょう。
WordPressを使用している場合、MySQLを使用しているため、データベースのバックアップは忘れずに行ってください。
また、旧サーバーでバックアップしたデータを新サーバーに移行するため、バックアップを取った後は、Webサイトの更新は停止するようにしましょう。
どうしても更新が必要な場合は、そのデータが新サーバーの移行データにも含まれるようにする必要があります。
Step5.新サーバーで独自ドメインを使用するための設定を行う
次に、新サーバーで独自ドメインを使用するための設定を行います。
通常、この設定を行うとFTPサーバー上に「/example.com/public_html」などの初期フォルダが作成されます。
データの移行時には、このフォルダにファイルをアップロードします。
また、この設定を行うことで独自ドメインでのメールアカウントの追加が行えるようになります。
この設定は、サーバー側の設定なので、ネームサーバーなどDNSが自動的に切り替わることはありません。
Step6.旧サーバーのデータを新サーバーに移行する
次に、旧サーバーのデータを新サーバーに移行します。
FTPでファイルをアップロードするほか、MySQLを使用している場合は、バックアップしたデータをphpMyAdminでインポートします。
WordPressを使用している場合、簡単に移行できるサービスやプラグインがあります。
例えば、エックスサーバーであれば以下の参考リンクのようなものです。
動作要件に該当する場合は、こういったものを使用すると効率的です。
ドメインのネームサーバーの変更前に動作確認を行うには?
この状態で、新サーバーの動作確認を行うには、PCの「hostsファイル」を使用します。
「hostsファイル」には、IPアドレスとそれに対応するドメイン名の一覧が記載されています。
このファイルを編集して、新サーバーのIPアドレスとドメイン名を記述することで、ネームサーバーの変更前に同じドメインで新サーバーにアクセスすることができます。
この動作確認は、「hostsファイル」の編集をしたPCでのみ可能です。複数のPCで確認する場合は、同じ設定を行うようにしましょう。
また、旧サーバーの内容を確認するときには、「hostsファイル」の設定をもとに戻すようにしてください。
「hostsファイル」を使用するよりも簡易的に確認する場合には、動作確認用URL(プレビューURL)が使用できるサーバーもあるので活用してみてください。
Step7.新サーバーでメールアカウントの作成を行う
次に、新サーバーでメールアカウントを作成します。
旧サーバーので使用しているメールアドレスの一覧を事前に用意しておき、それと同じメールアドレスになるように、メールアカウントを作成しましょう。
Step8.メールソフトの設定を行う
次に、メールソフトの設定を各サーバーのマニュアルに沿って行います。
旧サーバーのメールアカウント設定は残した状態で、新たに設定を行うようにしてください。
これは、ネームサーバーの変更が全て完了するまでは、旧サーバーにメールが届くためです。
このメールソフトの設定は、全従業員分必要なので、対応漏れがないように注意が必要です。
Step9.ドメインのネームサーバーの変更を行う(新サーバーとドメインを紐づける)
次に、ドメインのネームサーバーの変更を行い、新サーバーとドメインを紐づけます。
このネームサーバーの変更は、即時には反映されず、ネットワークで順次反映されていきます。
そのため、ネームサーバーの変更中は、メールやWebサイトがどちらのサーバーに繋がるかを予測することができません。
また、ネームサーバーが反映されるまでには、数時間~72時間かかるのが一般的です。
反映が開始されているかを知るためには、以下の参考リンクのツールを使用して、dig実行を行って確認することができます。
Step10.動作確認を行う
最後に、Webサイトとメールの動作確認を行います。
Webサイトでは、正しく閲覧できるか確認するほか、CMSを導入している場合は、投稿や編集などが正しく動作するかも確認するようにしましょう。
メールの動作確認では、社内(同一ドメイン)のメールアドレス同士の確認だけではなく、外部のメールアドレスでも正しく送受信ができるかも必ず確認するようにしてください。
Step11.旧サーバーの解約を行う
新サーバーでの動作確認が完了して問題がないことが確認できれば、旧サーバーの解約手続きを行いましょう。
忘れてしまっていると、自動更新されてしまい費用を払い続けてしまうことになるので注意しましょう。
サーバー移行時の注意点
ここまで、サーバー移行の概要と移行手順を解説してきました。
最後に、サーバー移行時の注意点を紹介します。
特別な事情が無い限りドメインは変更せずそのままで移行する
サーバー移行を行う際は、特別な事情が無い限りは、同じドメインを引き続き使用するようにしましょう。
これは、SEOの面でリスクがあるためです。
具体的には、ドメインが変更されると、検索エンジンからは別サイトと認識され、これまでWebサイトが得てきた評価が失われてしまいます。また、被リンクが無効になり、外部サイトからアクセスできなくなってしまいます。
リダイレクト設定を行うことで評価を引き継ぐことはでき、被リンクも有効になりますが、その場合、旧ドメインと旧サーバーを使用し続けなければならず、コストがかかってしまうので注意しましょう。
移行期間中にトラブルがあった場合もとのサーバーに戻せるようにしておく
サーバー移行期間中にトラブルが発生することも想定して、新旧サーバーの並行稼働期間は余裕を持って設定しておき、ネームサーバー切り替え後も、もとのサーバーに戻せるようにしておきましょう。
サーバーは、Webサイトやシステム、メールなど企業にとって重要なツールを扱っているものです。
移行作業は、計画的に慎重に行いましょう!