「去年の秋に出したあのバナー、どういう経緯で作ったんだっけ?」
保守案件を何本も抱えるWebディレクターは、1日に何度もこの手の問いにぶつかります。
そして、答えを見つけるまでにやることは、だいたい決まっています。
過去のメールを検索する。チャットをさかのぼる。共有フォルダを開く。当時のファイルを探す。結局見つからず、当時の担当者に聞く。
手を動かした時間はゼロなのに、30分が溶けている…。この「調べる時間」こそ、Webディレクション業務でいちばん静かに時間を奪っていくものかもしれません。

作業ボリュームが少ないものでも、Webディレクション業務は調査に見積もりと案外時間が取られますよね。
前回の記事では、依頼管理ツール「トコトン」とMCPをつなぐと、Web更新が指示から修正まで半自動で回せるというお話をしました。
実は、MCPでつないでいちばん最初に効果を感じたのは、修正そのものより「調べもの」のほうでした。
今回は、弊社が実際にAIを活用して行った調査・ディレクション業務を、4つの使い方に絞ってご紹介します。

どの業務も、人間が手を動かせばできるものばかりで、これまではそうしていました。AIに置き換えることで、同時にいくつもの案件の調査ができるようになり、効率よく複数の案件を進めることができるようになりました!
AIが調査するために必要なこと
Webディレクターの調べものが大変なのは、情報がバラバラの場所に散らばっているからです。依頼の経緯はメール、デザインデータはGoogleドライブ、ソースコードはGitHub…と、置き場所が分かれていれば、探す人間が何往復もするしかありません。
この探しまわる作業から、結果を資料にまとめるところまで、まとめてAIに任せられるというのが今回のポイントです。
そのために必要なのは、データをAIがアクセスできる場所に置くことです。
ここで便利な仕組みが前回の記事でも紹介した「MCP」です。
MCP

MCP(Model Context Protocol)とは、AIエージェントが、外部のツール(トコトン)の情報を安全に読み取れるようにする”橋渡し役”です。
MCPが使えるサービスなら、AIとの対話の中でデータをすばやく読み取ることができるようになるのです。
GmailやGitHub、Googleドライブなど、MCPが使えるサービスは増えており、お使いのAIを各サービスとMCPでつないでおけば、AIが自分で見に行ってくれるので、調べものを任せられるというわけです。
トコトンMCP
トコトンもMCPに対応しています。
「トコトン」は、小規模案件に特化したプロジェクト管理ツールで、日々の細かい更新依頼の情報を一元化することができます。クライアントや外注先とのやり取り、指示書などを、すべてトコトンに集約することができます。
MCPを活用することで、AIとの対話の中で、そのままトコトンに登録された依頼や過去のやり取りを見ることができるようになります。

MCPでつながるデータ
例えば下記のような情報がすべてMCPでつながることで、AIは「依頼の経緯」と「実際のコードの変化」を同時に自力でたどれるようになります。人間が何往復もしていた作業を、AIが一度にやってくれるわけです。
- トコトン — 依頼の経緯や変遷、同じクライアントや外注先との過去のやり取り
- Googleドライブ — デザインデータ
- リポジトリ(Git) — サイトのソースファイルと、その変更履歴
実際の使い方
仕組みについて見てきましたが、ここからは実際の使用例をご紹介します。

どの例も、自社で実際にWebディレクターが行った内容になります。
使い方①:昔の依頼の経緯を追いかける
保守案件でありがちな相談です。

バナーを前と同じ場所に出してほしいんだけど

前って、いつのどれだ?
実は、この件を担当したディレクターは今年からこのチームに異動してきたため、「前回」といってもピンときませんでした。
こんなとき、トコトンに過去のデータがあれば、AIが前のバナー掲載時のやり取りを見つけ出し、該当するGitのログを見て当時の状態を再現できます。
AIはトコトンから当時の依頼内容とやり取りを読み取り、あわせてGitの履歴から「その時点のコード」までさかのぼって、当時のページがどうなっていたかを再現してくれます。
ポイントは、書き出したPDFがそのままクライアントへの説明資料になることです。「前回はこの位置に、この期間で掲載しました。今回も同じ形でよろしいでしょうか」と、確認の一往復まで一気に済みます。

そうそう、これだよ!
もちろんメールボックスから「バナー」で検索し、Gitのログを遡って当時の状態を書き出すことで同じPDFの作成は実現できます。ただ、指示ひとつでPDF作成まで進めてくれるぶん、負担はだいぶ減ります。
使い方②:クライアントの依頼傾向をまとめてつかむ
次に効くのが、担当の引き継ぎの場面です。
新しく担当になったメンバーに、「このクライアントはこういう感じだから」と口頭で伝えても、細かいところは結局伝わりません。
そこで、AIに読ませてまとめてもらいます。
AIがトコトンからそのクライアントの依頼履歴を横断的に読み取り、どんな依頼が多いか、どういうときにやり取りが増えがちかなどを整理して返してくれます。
たとえば「月末に集中する」「原稿は後から差し替わることが多い」「画像は必ず先方支給」といった、担当者の頭の中にしかなかった暗黙のルールが、文章として出てくるのです。
これは引き継ぎだけでなく、久しぶりに依頼が来たクライアントへの対応方針を思い出すときにも便利です。

担当者の頭の中にあった「コツ」が、誰でも読める形になります!
使い方③:新しい依頼に似た「昔の案件」を探す
見積もりや作業方針を考えるとき、いちばん頼りになるのは似た案件の実績です。
「これ、前にどこかでやった気がする」と思いつつも、どの案件だったかを思い出せず、結局ゼロから見積もってしまう。そんな経験はないでしょうか。
AIがトコトンの過去案件を横断して、内容の近いものを拾い出します。
過去の対応内容が参照できれば、「あのときは実質3時間かかった」「先方確認で2往復あった」といった実績ベースで見積もりを組み立てられます。勘に頼った見積もりから、根拠のある見積もりに変わります。地味ですが、案件の採算に効いてくる使い方です。
使い方④:脆弱性が公表されたときの一次調査
これは「緊急性の高い調べもの」の代表格です。
弊社では、過去に納品したWebサイトやシステムの脆弱性への対応も行っています。
脆弱性が公表されると、ディレクターはまず「この案件は該当するのか」を確認しなければなりません。

最近はAIの進化で、脆弱性の公表ペースが上がっているように感じます…。
この調べものも、AIに任せることができます。
コードの調査とトコトン上の依頼履歴の確認を、1回の指示でまとめて行えるのがポイントです。影響範囲の一次調査が短時間で終われば、その分を「クライアントへの連絡」と「実際の対応」に回せます。
さらに、トコトンでは「カルテ機能」として、クライアントごとに情報を登録できる場所があります。ここにクライアントごとの契約情報や経緯をまとめておくことで、ソースコードとやり取りだけではわからない情報を補足でき、調査の精度も上がります。
もちろん、最終的な判断は人間がします。あくまで一次調査を高速化するための使い方です。
他にもこんな使い方をしています
「調べる」から少し広がりますが、同じ仕組みで次のようなこともできます。
進行中の依頼を横断してチェックする
やりかけの依頼が増えてくると、「返事を忘れているものはないか」不安になるものです。
トコトンの「タスク機能」では、だれがボールを持っているか見える化できます。
しかし、タスクの振り忘れや、曖昧なものもあります。例えば、タスクは先方にあっても、「こちらでも調べてみますね」というようなコメントをしたまま、それっきりになっているものもあったりします。
ステータスや更新日時、コメントをもとに、気になる案件を洗い出してくれます。朝いちばんの状況確認や、週次の棚卸しに使っています。
新機能の使い方マニュアルのたたき台を作る
カスタマイズで機能を追加したあと、クライアント向けの説明資料を作るのも、地味に時間のかかる作業です。
AIは「依頼に書かれた経緯」と「実際に書かれたコード」の両方を参照できるので、実装に即した下書きが出てきます。仕上げは自分の手で整えてから納品していますが、かなり時短になっています。
使ううえで、気をつけていること
便利な一方で、AIに任せきりにしないためのルールも決めています。弊社で心がけている2つのポイントをご紹介します。
対象のリポジトリを、指示のなかで明示する
弊社では、各案件のリポジトリをまとめたフォルダの1つ上のフォルダでAIツールを起動し、指示のなかで対象のリポジトリを指定しています。
案件ごとにそのリポジトリの中で起動することもできますが、それだと「前に似たことをどこかでやったな」というときに、AIが別の案件を参照できません。1か所で起動しておけば、案件をまたいだ調べものもそのまま頼めます。
提出前に、必ず自分の目で確認する
AIがまとめた調査結果やドキュメントは、そのまま提出せず、必ず自分の目で内容を確認してから使っています。
調べる時間は大幅に減りますが、内容に責任を持つのは人間です。ここは変わりません。

「調べるのはAI、決めるのは人」の役割分担ですね!
まとめ:AIの活用で「探す時間」を削減する
AIの活用というと、どうしても「文章を書かせる」「コードを書かせる」といった作る仕事に目が向きがちです。
でも、保守の現場で実際に効いたのは、探す仕事のほうでした。
| 場面 | これまで | トコトン×MCP |
|---|---|---|
| 前回の経緯を知りたい | メール・フォルダを往復して30分 | 案件番号を伝えてあとは自動で資料まで生成可能 |
| 担当を引き継ぐ | 口頭+過去メールの読み込み | 傾向と注意点をまとめてくれる |
| 見積もりを立てる | 記憶と勘に頼る | 実コードや類似案件を見ながら立てられるので高精度 |
| 脆弱性に対応する | コードと依頼履歴を別々に確認 | 1回の指示でまとめて一次調査 |
そして、この使い方の土台になっているのは、特別な技術ではありません。依頼が整理されたデータとして残っていること、そしてAIが読み取りやすい形式であること。この2つだけで間。
メールやチャットに散らばったままの依頼は、AIにとっても「探しにくい情報」です。逆に、ツールにきちんと蓄積されていれば、それはそのままAIが読み解ける資産になります。
「調べる時間」に心当たりのある方は、まずそこから整えてみてください。
トコトンで「調べなくていい状態」をつくる
過去の経緯を探す時間をなくす出発点は、依頼が整理されたデータとして残っていることです。

「トコトン」は、小規模案件に特化したプロジェクト管理ツールで、日々の細かい更新依頼の情報を一元化することができます。
下記のように、Webサイトの保守・管理・運用に特化した様々な機能を搭載しています。
- クライアント情報/契約内容登録機能
- プラン/サービス登録機能
- ステータス管理機能
- タスク割り当て機能
- カレンダー型公開日管理機能
- ポイント機能
- メール連携機能(メールで案件作成・コメント追加)
- MCPサーバー連携
トコトンで実現できること
トコトンで修正依頼をテキスト情報として一元管理すれば、AIを間に入れた保守業務の自動化にもつながります。
- 複数の連絡手段を一元化 – メール、電話、チャットの情報をすべて一箇所で管理
- 進捗状況の見える化 – 案件の現在のステータスが一目で分かる
- 過去の経緯をすぐ引ける – いつ・誰が・何を依頼したかが案件ごとに残る
- チーム内情報共有 – 担当者が不在でもスムーズな引き継ぎが可能
- AIとの連携 – MCPサーバー経由で、AIツールが依頼データを直接読み取れる
蓄積された依頼データは、今日の調べものを減らすだけでなく、明日AIに任せられる仕事を増やす資産にもなります。まずはトコトンで依頼の一元管理を始めてみませんか?
無料デモ体験の申し込みも受け付け中です。詳しいサービス内容については、依頼管理ツール「トコトン」サービスサイトからご確認ください。


