Webサイトのデザインコンセプトを作っても、なんだか説得力に欠ける、論理的に伝えられていない、そう感じることはありませんか?
Webサイト制作では、デザインの方向性を定める際このような方法を取る場合が多々あります。
- クライアントからの要望をもとにデザインの方向性を定める
- 競合他社のWebサイトのデザインを調査した上で方向性を定める
- 参考デザインをもとにクライアントにイメージに近いものを選んでいただく
せっかくクライアントの強みや競合他社との違いをヒアリングしても、これらの方法でアウトプットされたデザインは論理的な落とし込みをされていないように見えてしまう場合があります。
そのようなデザインはクライアントにとっては説得力がなく、上長への説明ができず承認が得にくくなります。
そんなときにおすすめなのが、ヒアリングした内容を整理し、論理的にデザインのコンセプトを明確にすることができるフレームワーク「ブランドピラミッド」の活用です。
ブランドピラミッドを活用することで、論理的なデザインコンセプトを策定でき、デザインの補足資料として提出することもできます。この資料であれば、一人歩きしても意図を伝えることができます。
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この記事では、ブランドピラミッドの概要、重要性、作成手順について解説します!
ブランドピラミッドとは?
ブランドピラミッドとは、ブランドの核となる要素を段階的に整理して、視覚化したもので、ブランドの方向性を明確にするためのツールです。
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ブランド・マーケティングのコンサルティングを行っている山口 義宏さんの著書「デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール」で紹介されている「ブランド知覚価値構造の図」のことを、弊社ではブランドピラミッドと呼び、デザインの着手前に作成しています。
デザインにおけるブランドピラミッドの重要性とは?
デザインは単なる見た目の良さだけではなく、ブランドの価値やメッセージを視覚的に伝える手段です。
ブランドピラミッドを事前に作成することで、デザインのコンセプトが明確になり、プロジェクト内でブランドの一貫性を保つことができます。
ブランドの方向性を定めずにデザイン着手すると何が起きるか?
ブランドの方向性を定めずにデザインに着手すると、デザインのコンセプトも統一感がなく説得力のないものになってしまい、以下のような問題が起きる可能性があります。
- 一貫性の欠如が起きる
- 効果的なコミュニケーションを行えない
- ブランド価値が希薄化する
- 社内の混乱が発生する
- 無駄なコストが発生する
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それぞれについて詳しく解説します!
一貫性の欠如が起きる
ブランドの核となるメッセージや価値観が不明確だと、デザインに統一感がなくなり、ターゲットに対して一貫したメッセージを伝えることができません。
これにより、ブランドの本質や信頼性を理解してもらいづらくなります。
効果的なコミュニケーションを行えない
ブランドの方向性が定まっていないと、マーケティングメッセージや広告が一貫せず、ターゲットの記憶に残りづらくなります。
一貫したデザインとメッセージがないと、ブランドの信頼度が低下して、競争力が低下する可能性もあります。
ブランド価値が希薄化する
ブランドアイデンティティが確立されていないと、ターゲットがブランドに対して抱くイメージが曖昧になります。
これにより、ブランドの差別化が難しくなり、市場での競争優位性が損なわれてしまいます。
社内の混乱が発生する
ブランドの方向性が明確でないと、社内での意思疎通が難しくなり、異なる解釈が生まれてしまいます。
その結果として、プロジェクトの進行が遅れたり、品質のばらつきが生じてしまう可能性があります。
無駄なコストが発生する
ブランドの方向性が不明確なままデザインを進めると、修正ややり直しが頻繁に発生し、時間とコストが無駄になってしまう可能性があります。
ブランドピラミッドの作成手順
ブランドピラミッドの作成手順には、「ニーズ起点アプローチ」と「シーズ起点アプローチ」の2つがあります。
ニーズ起点アプローチは、ターゲットのインサイトやニーズに基づいて、それに対応した商品やサービスを企画し、広い視点から事実を探し選択する方法です。
シーズ起点アプローチは、技術などのシーズ要素に基づいて、それが実現する価値を考えて、ターゲットやインサイトを設定していく方法です。
弊社では、シーズ起点アプローチで、クライアントからヒアリングした事実をもとにブランドピラミッドを作成するようにしています。(シーズが出にくいときはニーズ起点に切り替える場合もあります)
ブランドピラミッドの図でいうと、最下層の「事実・スペック・エビデンス」から上に向かって順に作成する流れです。
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弊社では、Webサイト制作案件において、Webディレクターがヒアリングを行い、その後デザイナーと一緒にブランドピラミッドを作成しています。
その後、クライアントにまとめた情報を共有し、認識のすり合わせを行っています。
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ブランドピラミッドを作成のそれぞれのステップについて解説します!
Step1.事実・スペック・エビデンスの洗い出し
まずは、クライアントからヒアリングした内容をとにかく書き出しましょう。
例えば、以下のようなものです。
- 会社の歴史
- 仕事に対する姿勢
- 事業内容
- 強み・特徴
- 実績
この要素は、どの会社でもあるものではなく、競合にはない差別化されたものを中心に洗い出すようにしましょう。
Step2.機能的価値のまとめ
次に、洗い出した事実をもとに、機能面や品質面において、どのような価値を提供できる会社なのかをまとめていきます。
機能面や品質面での競争優位性のあるものをまとめると良いでしょう。
機能的価値とは、商品やサービスの機能面や品質面において、顧客に提供できる価値のことです。
Step3.情緒的価値のまとめ
次に、どのような心理的な価値を提供できる会社なのかをまとめていきます。
例えば、以下のようなものです。
- 安心感・信頼感
- ステータス・誇り
- 楽しさ・喜び
- 共感・連帯感
情緒的価値とは、商品やサービスを使用した際に、顧客が体感できる心理的な価値のことです。
Step4.パーソナリティの作成
次に、機能的価値・情緒的価値をまとめた情報をもとに、人格を表現する言葉に置き換えていきます。
会社やサービス・商品を人に例えると、どのような人なのかという視点で考えていきます。
Step5.コアバリューのまとめ
次に、機能的価値・情緒的価値・パーソナリティをもとに、どのような価値を提供できる会社かを一言に集約します。
例えば、弊社フォノグラムのコアバリューの1つには「楽しさ研究」があります。
Step6.インサイトのまとめ
次に、そのようなコアバリューの会社を求めるターゲットは、どのような本音を持っているのかをまとめていきます。
例えば、以下のようなものです。
- ~~~は、~~~でストレスが多い。
- ~~~が使いづらい。
- ~~~な生活を送りたい。
- ~~~のコストを削減したい。
また、インサイトとコアバリューの関係は1対1になっており、連動している必要があるので注意しましょう。
Step7.ブランドターゲットの決定
最後に、そのようなインサイトをもつターゲットを言語化します。
以下のような形で簡潔にまとめましょう。
- ~~~な人々
- ~~~を好む人
- ~~~な担当者
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例として、有名な企業「ANA グループ」の国内向けの訴求をブランドピラミッドに表すとこのようになります!(公式のグループ行動指針をもとにしたものです)
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説得力のあるデザインを作るには、ブランドピラミッドの活用がおすすめ
ブランドピラミッドを活用すると、ヒアリングの内容をもとに、ブランドの核となる要素を段階的に整理して視覚化することができます。
ブランドの方向性が明確になるだけではなく、Webディレクターが思考を整理するためにも役立ち、チーム内やクライアント間での意思疎通もおこないやすくなります。
また、デザインの着手前にブランドピラミッドでブランドの方向性を明確にしてデザインコンセプトを策定することで、ターゲットに対して一貫したメッセージを伝えられるようになります。
ぜひ、ブランドピラミッドを活用してみてください!
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本記事で紹介しているブランドピラミッドのテンプレートを配布しています。
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