Webサイトは制作して終わりではありません。公開後も安定稼働させ、常に最新の情報を提供し続けるためには、適切な保守作業が不可欠です。本記事では、実際にWebサイトの保守を多く手掛けてきた自社の経験を基に、Webサイト保守の重要性から具体的な作業内容、効率的な進め方を解説します。

自社で保守の体制を組む時や、クライアントにWebサイトの保守を提案するのにぜひ活用してください!

Webサイト保守の重要性
Webサイトの保守は、単なる維持作業ではなく、Webサイトの価値を最大化するための戦略的な活動です。適切な保守を行うことで、ユーザー満足度の向上、セキュリティリスクの軽減、検索エンジンでの順位向上など、様々なメリットが得られます。

Webサイトの保守とは?
「保守」とは、正常な状態を保つことを意味します。(デジタル大辞泉)
Webサイトにおける「保守」の場合は、ハッキングやウイルス感染を防ぎシステムを最新版に保つことでデータの安全性を確保し、コンテンツの情報を最新にすることを指します。
それにより、Webサイトは安定して動作し続け、ユーザーに信頼できるサービスを提供できるようになります。
Webサイト運用との違い
Webサイト保守は、Webサイトの安定稼働を維持するための守りの作業です。一方、Webサイト運用は、Webサイトを活用してビジネス目標を達成するための攻めの活動です。両者は密接に関係していますが、目的が異なることを理解しておきましょう。
- サイトの安定稼働維持・パフォーマンス最適化
- セキュリティ対策
- 技術的な問題解決
- 掲載情報の正しさ・整合性
- コンテンツ戦略の立案と実施
- ユーザー獲得と維持
- コンバージョン率の向上、コンバージョン数の増加
- マーケティング施策の実行
保守と運用は相互に影響し合う関係にあります。例えば、保守作業でサイトの表示速度を改善することで、運用面でのコンバージョン率向上につながる可能性があります。逆に、運用で得られたユーザーの行動データを分析することで、より効果的な保守作業の優先順位付けができるでしょう。
効果的なWebサイト管理のためには、保守と運用を適切なバランスを取りながら進めていくことが重要です。
定期的な更新作業の重要性
Webサイトは、常に最新の状態に保つ必要があります。コンテンツの鮮度を保つだけでなく、セキュリティリスクを軽減するためにも、定期的な更新作業は欠かせません。
古い情報や誤った情報を放置すると、Webサイトの情報の信頼性が失われてしまいます。
最近はSNSなど、Webサイト以外の企業の発信チャネルも存在するため、情報の整合性も大切です。定期的にコンテンツを見直し、必要に応じて更新しましょう。
CMSやプラグインなどのシステム更新を怠ると、セキュリティホールになる可能性があり、危険です。常に最新バージョンを維持することが重要です。
Webデザインのトレンドは常に変化しています。時代に合わせたデザインの微調整を行うことで、見た目からもサイトの鮮度を保つことができます。
ユーザーのニーズや技術の進化に合わせて、新機能の追加や既存機能の改善を検討しましょう。
Webサイトの保守を行うことで得られるメリット
保守作業は、Webサイトの表示速度向上や、ユーザビリティ改善にもつながります。快適な閲覧環境を提供することで、ユーザー満足度を高めることができます。
- 離脱率低下: 定期的に表示速度をチェックし、改善を行うことで、表示速度が遅いことによるユーザーの離脱率を下げることができます。
- リーチ数の増加: スマートフォンやタブレットなど、様々なデバイスでの表示を最適化することで、より多くのユーザーにリーチできます。
- コンバージョン数の増加: ユーザーの行動分析に基づいて、サイト内のナビゲーションを改善することで、目的のページへの到達率を向上させることができます。
Webサイト保守の具体的な作業10種
Webサイト保守には、様々な作業が含まれます。具体的な作業内容を10個解説します。

ページ修正・追加
一般的に「コンテンツ保守」と呼ばれるものです。
Webサイトのコンテンツを修正したり、新しいページを追加したりします。情報鮮度を保ち、ユーザーに常に最新の情報を提供することが重要です。
- テキストの更新
- 画像の差し替え
- リンクの修正
- 新規ページの作成
- サイトマップの更新
- 内部リンクの設定
- 構造化データの実装
- 不要なページの削除、リダイレクト設定

下記の点に注意しながら、クオリティを保ち作業を進めましょう!
- クロスブラウザチェック
- レスポンシブデザインの確認
- スペルチェック
- リンク切れチェック
- デザインコンセプト、ルールの踏襲
CMS(コンテンツ管理システム)の保守
WordPressなどのCMSは、定期的なアップデートが必要です。セキュリティ対策や機能改善のために、常に最新バージョンを保つようにしましょう。
CMSのコア以外にも、テーマやプラグインのアップデートも必要に応じて行います。
アップデート作業は、下記の点に注意しながら行ってください。
- アップデート前に、カスタマイズ部分への影響を確認
- 重要なアップデートは速やかに適用(特にセキュリティパッチ)
- プラグインの互換性確認
サーバー・ドメイン管理
Webサイトを公開するために必要なサーバーとドメインの維持・管理を行います。契約更新手続きや、サーバーのセキュリティ対策などが含まれます。

これらを怠ると、ある日突然Webサイトが見られなくなることもあります!

利用している共用タイプのレンタルサーバーか専用サーバーかによって、どこまで自社で行うのか変わってきます。サーバー側の提供サービスをよく確認しておきましょう。
- OSやミドルウェアのアップデート
- サーバーリソースの監視と最適化
- セキュリティパッチの適用
- ファイアウォールの設定と管理
- バックアップの実施と管理
- ドメイン更新手続きの管理
- DNSレコードの設定と管理
- サブドメインの作成と管理
- Whois情報の更新
- サーバーの稼働状況確認
- ディスク容量の確認
- データベースの最適化
- エラーログの確認と対応
SSLサーバー証明書の更新
SSLサーバー証明書は、Webサイトのセキュリティを確保するために不可欠です。有効期限切れを防ぐために、定期的な更新作業が必要です。
SSLサーバー証明書はサーバーやドメインと別契約になっている場合が多く、実は更新漏れを起こしやすい作業です。自動更新ツールや管理ツールを導入し、効率化を図ることをおすすめします!
データのバックアップ
Webサイトのデータを定期的にバックアップすることで、万が一のトラブルに備えることができます。バックアップ頻度や保存期間は、Webサイトの重要度や更新頻度に合わせて設定しましょう。
- Webサイトのファイル(HTML、CSS、JavaScript、画像など)
- データベース
- サーバー設定ファイル
- メールデータ(必要に応じて)
バックアップ対象やタイミングに合わせ、適切な方法を選びましょう。
- 自動バックアップツールの利用
- コマンドラインでのバックアップスクリプト実行
- 手動でのファイル転送
監視・障害対応
Webサイトが正常に稼働しているかを常に監視し、障害発生時には迅速に対応します。サーバーダウンや、Webサイトの表示エラーなどを早期に発見し、復旧作業を行います。
監視ツールを活用し、メールやSMS、チャットツールなどでアラートを受け取ることで監視を効率化でき、迅速な対応が行えます。
- サーバーの稼働状況
- Webサイトの応答時間
- CPU使用率、メモリ使用率、ディスク使用率
- ネットワークトラフィック
- データベース接続数
- エラーログ
障害が起きた際は、下記のような手順で対応を進め、素早い復旧と再発防止に努めます。
- 障害の検知と初期評価
- 関係者への通知
- 原因の特定
- 一時的な対応策の実施
- 恒久的な解決策の検討と実施
- 復旧確認
- 事後報告と再発防止策の検討
- 障害報告書の作成
ヘルプデスク
WebサイトやCMSに関する問い合わせに対応します。更新方法の説明や、トラブルシューティングなど、ユーザーからの質問に丁寧に対応しましょう。
- ユーザーアカウントの管理(パスワードリセットなど)
- CMS操作方法の説明
- 障害・メンテナンス情報の提供
メールアカウント管理
サーバー管理の一環として、従業員の入社や退職に合わせて、メールアカウントの追加や削除を行う場合もあります。セキュリティ対策のため、不要なアカウントは速やかに削除することが望ましいです。
- アカウント作成
- アカウント削除
- セキュリティ対策(二段階認証、スパムフィルターの調整など)
- メールサーバーの監視
- ディスク容量の管理
- メールログの分析
アクセス解析
Webサイトのアクセス状況を分析し、改善点を見つけます。一見運用の活動寄りに見えますが、適切かつ快適な閲覧がされているかを確認するという意味では保守の側面もあります。
- ページビュー数とユニークユーザー数
- 直帰率と滞在時間
- 流入元(検索エンジン、SNS、参照元サイトなど)
- デバイス別アクセス比率
- コンバージョン率
データをもとに離脱率の高いページの改善を行ったり、アクセスの多いデバイスに合わせた快適な閲覧ができるように調整するなどの改修を行います。
SEO対策
検索エンジンで適切に表示されるように、Webサイトを最適化します。
GoogleサーチコンソールやBingウェブマスターツールなどを活用し、公開済みのページが適切に検索エンジンに表示される状態になっているか定期的に確認しておきましょう。
効果的なWebサイト保守は、これらの作業を計画的かつ継続的に実施することで実現できます。

クライアントのニーズや予算に応じて、必要な作業を選択し、適切なサービスを提供することが重要です!
Webサイトの保守をうまく進めるためのポイント
これらのような作業が発生するWebサイト保守をうまく進めるためには、以下のポイントが重要です。

人材配置
各作業に必要なスキルを持つ担当者を配置します。保守は一見単調な作業に思われますが、実際にはサーバーやネットワーク、デザイン、システムなど幅広い知識が求められます。技術的な知識だけでなく、クライアントとのコミュニケーション能力も重要です。
データ管理のルール化
サイト構築に使ったデータや素材を適切に管理しておくことが必要です。関係者間で保存ルールを決め、必要なデータをすぐに取り出し使える状態にしておきます。
ドキュメント化
作業内容や手順を文書化し、担当者が変わっても一貫した保守が行えるようにします。
対応履歴の蓄積
対応した履歴について、クライアントとのやり取りを含め残しておきます。
月次や年次の定期的な更新については事前に準備を行うことができますし、クライアントとのやり取りが残ると1つの作業における変遷を追うことができます。
自動化
定型作業や監視、定点レポートなど、自動化できる部分はなるべくツールやサービスを活用し、省力化を図ります。人力は抜け漏れの原因となります。
最適な保守頻度とスケジュール設定
Webサイトの規模や特性に合わせて、最適な保守頻度を設定しましょう。定期的なスケジュールを立て、計画的に保守作業を行うことが重要です。
- 日次作業: サーバーの稼働状況確認、バックアップ、セキュリティログのチェックなど
- 週次作業: コンテンツの更新、アクセス解析レポートの確認、軽微な修正対応など
- 月次作業: セキュリティアップデート、パフォーマンス最適化、月次レポートの作成など
- 四半期作業: 大規模なコンテンツ更新、UX改善施策の実施、セキュリティ診断など
- 年次作業: サイトのリニューアル検討、サーバー契約の見直し、年間計画の策定など
保守頻度は、サイトの重要度や更新頻度、予算などを考慮して決定しましょう。また、クライアントの要望や業界の特性に応じて、柔軟に調整することが大切です。
Webサイト保守料金の相場
Webサイト保守料金は、サービス内容やWebサイトの規模によって大きく異なります。一般的には、月額7,500円~35,000円程度が相場です。

この記事に詳しくまとめていますので料金設定の参考にしてみてください!
効率よくWebサイト保守を行うためのツール
Webサイト保守を効率化するためのツールは多数存在します。タスク管理ツール、セキュリティツール、バックアップツールなど、目的に合わせて最適なツールを選び、効率的なWebサイト保守作業を行いましょう。

実際に私たちが使っているツールをご紹介します!

プロジェクト管理ツール
Webサイト保守を効率よく管理し、クライアントとのコミュニケーションを蓄積できる依頼管理ツール「トコトン」がおすすめです。
「トコトン」は、下記のように、Webサイトの保守・管理・運用に特化した様々な機能を搭載しています。
- クライアント情報/契約内容登録機能
- プラン/サービス登録機能
- ステータス管理機能
- タスク割り当て機能
- カレンダー型公開日管理機能
- ポイント機能
ウェブ制作に特化した「ステータス管理機能」

Webサイト構築時と違って、Webサイト保守では小規模な案件を短納期でかつ同時進行する事が多くなります。トコトンは、保守・運用のきめ細やかな進捗把握が可能です。サイト構築時に使う一般的なプロジェクト管理ツールとの違いがここにあります。
トコトンでは、ステータス管理機能を採用しています。依頼の発生から公開、検収まで進捗状況を管理できます。
さらに、ステータス名は自社の環境に合わせて自由な名称に変更可能です。
これまで複数の作業者に対して口頭で確認していた進捗状況が、データで一元化できるため更新業務の属人化を防ぐことができるようになります。

弊社でも「トコトン」を活用してWebサイト保守を効率化しています!
監視ツール
Webサイトのパフォーマンスを常に監視することで、問題点を早期に発見できます。
Appmil(アプミル)はウェブページの通信状態を自動でチェックし、表示されない場合や応答が遅い場合に指定したメールアドレスに通知が届きます。他にもドメインやSSLサーバー証明書の有効期限を管理できたり、改ざん検知なども行ってくれます。

無料内でも十分活用できる機能が多く提供されており、おすすめです!
自動バックアップ
自動バックアップサービスを提供しているレンタルサーバーであれば、サービスを活用して自動バックアップを取っておくことをおすすめします。
例えばXServerレンタルサーバーでは14日の自動バックアップを標準機能で提供しています。
アクセスレポートの自動化
Googleアナリティクスのレポートを自動で生成するサービスの活用も効果的です。
Googleの「Looker Studio」を活用することで、独自のレポートを毎月発行することができます。

Looker Studioの使い方はこの記事で解説しています!
さらに手軽にレポートを作る場合、専用のサービスを活用することでプロが用意したテンプレートでレポートを生成することができます。

便利なツールを活用し、Webサイト保守を効率化かつ効果的に行いましょう!
Webサイト保守のコミュニケーションのポイント

定期的な報告と改善提案
クライアントに対して、定期的にWebサイトの状況を報告し、改善提案を行ったり、トレンド情報の提供を行いましょう。定期的なコミュニケーションを重ねることは、信頼関係構築につながります。
クライアントのニーズを聞くヒアリングスキル
Webサイトの保守では、クライアントの担当窓口になる人が複数名にわたる場合が多くあり、各担当者ごとのミッションや担当領域が異なります。
単なる修正依頼のような内容でも、そのまま対応すると担当者の領域外の情報との整合性が取れなくなる場合があります。
修正依頼の意図を汲み、影響範囲を確認しながら進める力が必要です。
トラブル時の迅速な対応と情報共有
トラブル発生時には、迅速に対応し、クライアントに状況を共有しましょう。迅速な対応は、クライアントの信頼を得るために不可欠です。
最新技術やトレンドの収集
Webサイト関連の技術は日々進化しています。常に最新の情報をキャッチアップし、適切な保守作業に反映させることはもちろん、クライアントへの情報提供も行うことで信頼を獲得できます。
保守契約の策定
Webサイト保守に関するルールを明確化し、契約書にまとめましょう。対応範囲、料金、連絡方法などを事前に定めることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
契約書に含めるべき保守範囲と責任分担
契約書には、Webサイト保守の範囲と責任分担を明確に記載しましょう。作業内容、対応時間、免責事項などを具体的に定めることで、後々のトラブルを避けることができます。

保守対象のWebサイトの定義が曖昧なままスタートしたことで、自社制作でないWebサイトの障害対応も行うことになり、調査に多大な時間を取られてしまった例もあります。
効果的な保守契約の作り方
クライアントのニーズに合わせた保守契約を作成しましょう。必要なサービスを過不足なく提供することで、費用対効果の高い保守を実現できます。
作業内容を事前に定義し、作業ごとの料金を決めておくと都度見積もりの手間も省け、より効率的な保守サービスの提供ができます。

弊社では、保守で発生する作業内容を洗い出し、一覧化して作業ごとにポイント課金する方法を取っています。
Webサイト保守は、Webサイトの価値を最大化するための重要な活動です。
本記事を参考に、Webサイト保守の戦略を練り、よりよい提案活動にお役立てください。





